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2009年7月12日 (日曜日)

本日の現場……? 開演時間が迫ってます……

20090712185357【 観劇後の追記 】フルコーラスじゃないけど、中山ラビさんの「夢は夜ひらく」「満鉄小唄」が聴けたのは嬉しかったな……

----------------新宿梁山泊WEBより転載----------------

「ベンガルの虎」再演に寄せて/扇田昭彦 (演劇評論家)

状況劇場が一九七三年に初演した大作『ベンガルの虎』は、
アジアと日本をつなぐ歴史の下部と暗部を躍動的に描く唐十郎の傑作である。
上野不忍池の暗い水中から大量の遺骨を詰め込んだ行李が、水をしたたらせながら、
ゆっくりと吊りあげられる場面の不気味な戦慄は今も忘れることができない。
だが、この大作は一九八八年に李麗仙の秘演会が上演した以外、再演されたことがない。
唐戯曲に情熱を注ぐ金守珍が演出する今回の久しぶりの再演は、この作品に触れられるまれな機会である。
だが、金守珍にはこの作品を演出する動機がもう一つあるように思われる。
この戯曲には明治以降、東南アジアで女性の人身売買や売春業を大規模に行った村岡伊平治が登場するが、
金守珍はこの実在の人物を踏まえた秋元松代の優れた戯曲『村岡伊平治伝』(一九六〇年)を、
一九九六年に『帝国心の妻』という題名で演出しているからだ(ポイント東京制作)。
あふれる奇想と濃厚な死の臭い、そして歴史的奥行きが一体となった舞台を期待しよう。
           


南の熱風に身を包まれる/堀切直人
金守珍は、状況劇場若衆公演後に脱退した若衆どもの頭目株であった。この若衆どもが結成した新宿梁山泊は、「新宿」が紅テント公演のメッカである花園神社のことを指しているように、唐十郎の芝居世界を引き継いでいく劇団として旗揚げした。その後、在日のテーマを追いかけていた時期もあったが、ようやく『少女都市からの呼び声』『盲導犬』などの唐十郎作の芝居を上演し出した。もっとも、それらはスペクタクルに頼りすぎて感銘の薄い憾みがあった。梁山泊の唐芝居がまばゆく白熱してきたのは『吸血姫』からで、『唐版・風の又三郎』の短縮版のラスト、片翼のゼロ戦がプロペラを回転させて空を飛ぶシーンなど、ドラマとスペクタクルがみごとに融合して、観客を陶酔に浸らせた。唐十郎が戯曲を書き下ろした『風のほこり』『少女都市からの呼び声』の年末年始の公演も絶好調だった。さて、いよいよ南の熱風に身を包まれる名作『ベンガルの虎』の登場である。

愛の永久南下  戯曲『ベンガルの虎』を読む 
『唐十郎の劇世界』 著者・扇田昭彦(右文書院刊)より
唐十郎の『ベンガルの虎』(新潮社の「書き下ろし新潮劇場」シリーズで刊行、1973年)は、四百字詰原稿用紙にして三百十枚、かっての秀作『吸血姫』(1971年)を上回る、この作者最長の力作戯曲である。
唐十郎こそ、現代における最も戦慄的な才能だと私は考えている。ダイナミックな偏執性という点で、これほど徹底した作家は他にほとんど例を見ない。彼の作品は、彼が主宰する劇団状況劇場の紅テントの舞台にかけられて初めて真の輝きを放つというのが私の考えだが、岸田戯曲賞受賞作『少女仮面』(69年)以後、その作品は「読む戯曲」としての完成度と成熟度をも急速に加え始めた。少なくとも『吸血姫』から72年の『二都物語』『鐵假面』へと続く彼の高水準の劇作活動は、もうだれも否定しきれぬ地点に達した観がある。
『ベンガルの虎』は、一言でいえば、『二都物語』『鐵假面』につらなるこの作者の庶民的ロマンティシズムの系譜の集大成的な作品である。そして『吸血姫』が、父性的、水先案内人的なイメージからひたすら幻の満蒙帝国をめざして北上する戦慄的ファナティシズムに満ちていたのに対して、この新作は、一生をしがない生の牢獄で送るほかはない庶民の切なさと心やさしさを羅針盤として、屍臭むせかえる炎熱のベンガルへと「愛の永久南下」を続けるのだ。
台詞はすべて平易であり、唐作品特有の大衆劇的ギャグと悪ふざけ、新派も顔負けの下町的、長屋的情感と臭気にあふれているが、劇そのものは重層化し、しかもきわめて求心的である。
主人公は生涯を暗い生の墓場でおくらねばならない貧しい庶民そのものだ。生がこの世の墓場である以上、生はそのまま死者の国へと通じている。だからこそ、庶民の吹きだまりである鶴見の花月園競輪場は、突如として、太平洋戦争の無名戦士たちが無数の屍をさらすビルマの「白骨街道」へと変貌し、さらにそれは、明治以来、遠い異国に骨を埋めた唐行きさんたちが囁きかわす墓場へとオーバーラップするのである。竹山道雄のの名作『ビルマの竪琴』の主人公「水島上等兵」──戦死者の霊を弔うために故国へ帰ることを頑として拒否したはずのあの「水島」が、実はとっくの昔に日本に帰っていて、いまや経済進出の先兵、「日本商社員・水島」として、戦死者の遺骨で大量のハンコをつくってもうけているという皮肉な設定もまた卓抜である。

戯曲の冒頭は、こんな意味深いト書きから始まっている。
死んだものは今、いずこなる河をさまよっているのだろう。黄泉の国にたどりついたか。否、土の中で未だに熟れた森の夢を見つづける。
とすれば、この戯曲全体も、死者たちがなおも見つづける長い、長い悪夢なのかもしれない。それにしても、何とも無残で華麗な“愛”の夢である。

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